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すすきのの歓楽街の中心からは少し区画が外れた場所でもあり、大規模ホテルが立ち並ぶ中島公園エリアからも少し離れている、まさにその中間ともいえる場所に、そのホテルはあった。

すすきのも中島公園エリアも、昔は華やかで人通りが多かったらしいのだが、建物の老朽化も進み、なんたって札幌駅周辺の開発が進んでいて、人の足はそっちへ向くことか多くなっているのが、今の時代らしい。

ここ数年以内に再開発計画が必要かもな、と親父が呟いていたのを聞いたことがある。

そんなことを思い出しながら、狭い上に交通量の多い道を何度も停止しながら進む車の中で目的地の到着を待っていた。



やっとの思いでようやく到着し、忠晴が丁寧にドアを開け、母さんや兄貴に続いて車から降りる。

車の傍には制服姿のホテルの従業員がすでにお迎えに来ていた。



「いらっしゃいませ、橘様。ようこそおいで下さいました」

「本日はお招きありがとうございます。主人が欠席で申し訳ありません」