なずな達が持っているような『霊力』だったり、親父や咲哉さんみたいな『支援』だったり。
少しでもそんな力があれば…。
しかし、俺達はまだ子供で何の力も持ってなくて、『無力』で。
ただ、ジレンマだけを抱える。
…川村も、何も出来ず事情だけを知ってるこの状況が、すごく嫌なんだと思う。
予測でしかないけど、もしそうなら、そこは俺も共感するよ。
しばらくすると、川村が「待たせたな」と、トイレから出てきた。
「…しかし、伶士殿も随分奇特なヤツだな。なずぽが陰陽師と知ってても、なお好きだなんて」
二人で並んで階段を上ってると、川村がおもむろに口にする。
「今までのなずぽの男タチは、なずぽが何やってるか薄々勘付くとますます混乱して『変な宗教に手を出してる』とか『夜の街でこっそり働いてる』とか『他に男いる』とか不信感持って、なずぽがフラれる…っつーパターンなんだけどな」
「………」
変な宗教…そんなんで済ませられない事やってんだけど。命懸けだぞ。
「…知ってるからこそだよ。そこもひっくるめていいと思ってんだから」
「………」



