俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~


なずな達が持っているような『霊力』だったり、親父や咲哉さんみたいな『支援』だったり。

少しでもそんな力があれば…。

しかし、俺達はまだ子供で何の力も持ってなくて、『無力』で。

ただ、ジレンマだけを抱える。


…川村も、何も出来ず事情だけを知ってるこの状況が、すごく嫌なんだと思う。

予測でしかないけど、もしそうなら、そこは俺も共感するよ。



しばらくすると、川村が「待たせたな」と、トイレから出てきた。



「…しかし、伶士殿も随分奇特なヤツだな。なずぽが陰陽師と知ってても、なお好きだなんて」



二人で並んで階段を上ってると、川村がおもむろに口にする。



「今までのなずぽの男タチは、なずぽが何やってるか薄々勘付くとますます混乱して『変な宗教に手を出してる』とか『夜の街でこっそり働いてる』とか『他に男いる』とか不信感持って、なずぽがフラれる…っつーパターンなんだけどな」

「………」

変な宗教…そんなんで済ませられない事やってんだけど。命懸けだぞ。

「…知ってるからこそだよ。そこもひっくるめていいと思ってんだから」

「………」