俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~

「霊力大量消費すると、激ヤセするんだとよ。時間経つと自然に戻ってるからこりゃビックリだ。…どっちにしろ、常に危険な目に合ってることには変わらん」

「………」

「…誰にでも出来る仕事でないからな?そこは重々承知しとるさ。そんなヤツがマブで誇りには思うよ。でもな…」


間を置くかのように、はぁ…と溜め息が聞こえる。


「…わっち、なずぽが死ぬのは嫌じゃ」


ちょうどトイレの前に到着し、そう言い捨てて中へ入っていく。

「待ってろよ?」と、顔をひょこっと出して、再び中へと消えた。


《死ぬのは嫌じゃ》


死ぬ…。


…考えたことがなかったワケじゃないけど、改めて頭に浮かべると、それは非常にゾッとさせられることだ。

いきなりそんな話を吹っかけてくるなんて、川村もそこには相当思うところがあったんだろう。


俺だって、嫌だよ。

そんな、死ぬだなんて。



…こういう時、ふと思う。



自分にしか出来ないことは何か、じゃなくて。

俺にも何か『力』があれば、こんな思いしなくていいのにな、なんて。