何っ…!



意表を突かれたような気がして、咄嗟に振り向く。

後ろには、腕を組んでじっと俺を見ている川村がいた。

眉間にシワを寄せて、もの難しい顔をしている。



「…親父同士がビジネスパートナー…なるほどな。なずながいつも言ってる『橘しゃちょー』は伶士殿のパパさんか」

「なっ…」

「橘しゃちょーはなずぽパパのオトモダチで、なずぽパパはしゃちょーの会社の専属陰陽師やってるって聞いてたけどな」

俺の必死の言い訳から、推察したのか?




「なずなが陰陽師だって、知ってたのか…」

「知っとる知っとる。…わっちのママ、昔すすきので働いてたんよ。で、なずぽパパとは知り合いでな。『音宮』なんて名字珍しいからの。ママが勘付いた」

「そっか…」

すすきのの知り合い…おじさんの飲み歩いていたお店のホステスさんだったんだろうか。

「知っとるのはわっちだけだ。…みっちょは依頼先で知り合って入学前からの知り合いらしいがな。でもみっちょはなずぽが陰陽師だとは知らない」