俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~


まさか。まさかまさか。

ほんの数分前に彼女になった子の誕生日が、実は今日でした。



…だなんて、誰も想像しない。



なのに、俺が持ってきたのは、フードパックに入ったおみやげのステーキだけ…!

年に一度のお祝いすべき大切な日なのに。

こんなこと、ありますか…!

わかってたら、もっといろんなもの用意させたのに!

プレゼントだって!



今度は俺がキョドってソワソワし出す。

しかし、その様子はバッチリなずなに見られていた。



「っていうか、何で伶士がソワソワしてんの…」

「だ、だって!今日だってわかってたら!…それに、プレゼントとか!」

「あー。それはいいよ、別に」

「よ、よくない!」

「ホントいいって」

「何で!」

「…だって、もう貰ったから」



そう言って、なずなは。

自分の傍にあった、俺の右手に手を伸ばして、手の甲にちょこんと触れる。


「は…」


不意を突かれて放心しかけそうになるも、なずなは視線を合わせてくる。

大きな瞳で見つめられると、ドキッとさせられるが。


「…そゆこと」


一言呟くと、照れ臭そうに視線をふっと下に逸らしていた。