「パウンドケーキ?私が生クリームダメだから?」
「そ、そだよ?ナッツぎっしりパウンドケーキ!」
「おぉー。ありがとー。このメッセージのクッキーもすごいね。さすがパン職人桃李ちゃん」
「えへへ。夏輝や哲太くんも今来るから、ジュースで乾杯しよー!」
そう言って、残念姉さんは、お連れのお友達と一緒にこの室内のソファー席にあるテーブルにて、紙コップやおやつを広げ始めた。
パンもある。焼きたてうまそう。
…ではない!
「…お、おい!今日、ホントに誕生日なのか?!」
今度は俺が、小声でなずなに耳打ちする。
すると、なずなは苦笑いを浮かべていた。
「あぁぁ…そういや今日誕生日だったって、さっき気付いたわ…」
「何っ!」
「まさか、病院のベッドの上で誕生日を迎えることになるとわ…」
そういや?さっき気付いた?
って、自分の誕生日、気付かない?忘れる?…何それ!40代の働き盛りのキャリアウーマンみてえなセリフ言いやがって!
ま、マジか…!



