「俺が爆ギレだろうがおフザケだろうが誤魔化しだろうが、どんなお坊っちゃまになろうが、考えてくれないと困るんだよ」

『か、考えてるって!』

「本当か?俺がこうして連絡するまで忘れてたんじゃねえのか?」

『わ、忘れてないって…』

「秘密の写真出されて都合悪いから出任せ言ってんじゃねえだろな」

『そんなことないぃぃ…』



なずなの声が、段々小さくなってきているのがわかる。

最後の方は、何となく弱気になってるようにも思えた。



『考えてるよ、ちゃんとぉぉ…』



本当かよ。

そう言いながらも騙し討ちで逃亡されたという前歴があるから、信頼度はかなり低い。



しかし、何で弱気の声になっている。

ヤツが減俸以外の事にビビってるとか、あり得ないぞ。

立場逆転の優越感は、気分が良いけど。



「じゃあ、いつ返事してくれるんだよ」



興奮がちに責め立て気味だった呼吸を落ち着かせるつもりで、咳払いをする。

だが。



『………』



ヤツはまた無言になった。