だが、最近の記憶。
蘇るのは、早い。
(…ああっ!)
こ、この人…!
《痛い痛い痛い痛い!…何するんですか!》
《ほらほらほらほら!早く早く早く!》
《…何を早くですか!》
《助けて下さい助けて下さい助けて下さいたす…》
一瞬、わからなかった…!
あの時はドレスアップした姿だったのに、今はベージュのボアコートにピンクのワンピースと、だいぶカジュアルで髪形も違うからわからなかった。
可愛い美人な顔をしてるくせに、力んだりする時に、なぜか腰を落としてガニ股になってしまう人。
技を出したりする時に「やー!」と、チアダンのような高い声を出してしまう人。
そして、集中力が切れるとキョドってダメになる、残念な人…!
向こうは、俺を覚えていたわけですか。
すると、その残念な人は、また「あ」と声を出す。
何か閃いたような顔をしていた。
「…え!レイシくんって、なずちゃんの彼氏だったんですか?!」
「桃李ちゃん、遅いよ。それさっき私聞いた」



