「ううぅぅ…」と、呻いていたなずなだが。
俯き加減の顔から、チラリと俺を見ている。
ふと、唇が動いた。
「私だって、伶士とじゃなきゃ嫌だよ…」
…それは、心にグッと重く、響く。
込み上げる熱いものに。
胸の奥の、魂が…震える。
「伶士がいい……伶士と、一緒にいたい」
堪え切れなくなって、思わず手を伸ばす。
その体をグッと引き寄せて、腕の中に包んで抱き締めた。
力強く、熱くなるほどに。
「いる。いるって。…一緒にいる」
「…うん」
俺と一緒にいたいなら、俺が傍にいてもいいなら。
一緒に、いてくれるなら。
ただ、それだけでいい。
俺の護衛でも何でも、勝手にやってくれて構わない。
細くて柔らかくて温かい、その体を強く抱き締める。
体を閉じ込めている腕は、何故か震えていて、力が入っていた。
「…なずなが、俺が良いって言ってくれるなら、もう何でもいい」
「………」
「ボディガードだって好きにやりゃいい。…あ、この間みたいな生死を彷徨うとかは嫌だけど」
「…そりゃ無理だ」



