俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~



「ううぅぅ…」と、呻いていたなずなだが。

俯き加減の顔から、チラリと俺を見ている。

ふと、唇が動いた。




「私だって、伶士とじゃなきゃ嫌だよ…」




…それは、心にグッと重く、響く。

込み上げる熱いものに。

胸の奥の、魂が…震える。




「伶士がいい……伶士と、一緒にいたい」




堪え切れなくなって、思わず手を伸ばす。

その体をグッと引き寄せて、腕の中に包んで抱き締めた。

力強く、熱くなるほどに。




「いる。いるって。…一緒にいる」

「…うん」



俺と一緒にいたいなら、俺が傍にいてもいいなら。

一緒に、いてくれるなら。

ただ、それだけでいい。

俺の護衛でも何でも、勝手にやってくれて構わない。



細くて柔らかくて温かい、その体を強く抱き締める。

体を閉じ込めている腕は、何故か震えていて、力が入っていた。



「…なずなが、俺が良いって言ってくれるなら、もう何でもいい」

「………」

「ボディガードだって好きにやりゃいい。…あ、この間みたいな生死を彷徨うとかは嫌だけど」

「…そりゃ無理だ」