俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~



「…あのさぁ」



呟きかけて、もう一度グイッと顔を近付ける。



「…言っとくけど、ただキスがしたいだけでこんなことをするんじゃないぞ、俺は」



グラグラ泳いでいたその目と、視線がひとつになる。

「へ…」と、間抜けな声がした。



「相手がなずな、おまえにだからするんだ。他の女には頼まれてもこんなことしない」



すると、潤んだ瞳が…見開いていく。




「俺がこんなことをする相手は、おまえだけだ。…好きだから」




再び顔を近付けていくと、その大きな瞳に吸い込まれそうな気がして。

…いや、寧ろ吸い込まれてみたい気分にもなって、目を閉じてみる。




そんな中で、そっと口づけた唇は。

温かかった。




唇を離すと温もりも消えて、惜しいけど。

開いた視界の先には、依然固まり続けて呆然としているなずなの顔があった。



「な、なんで…」



出した声が小さくて、震えていると思ったら。

顔が次第に歪んでいき、目がうるうる潤み過ぎて真っ赤になっていた。



「なんでだよ…」