俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~


(ったくよぉ…)



やはり、そうだった。

確信してしまうと、複雑な思いもまた出て来る。



「…俺はただ、おまえとなずなに復讐の鬼にはなって欲しくないんだよ」




大切な友人をあんな目に合わせて、憎い事は憎い。

でも…その友人の大切にしている子供達が、復讐心を激らせる鬼のようになってしまうのは、何ともやり切れない。

こうなった今、親代わりを買って出ている身。

復讐心のあまり、人の心を投げ出すような真似だけは何としても…。



そんな大切な子供達の一人、剣軌にじっと見つめられている。

さっきの般若のような顔貌ではなく、いつものクールな表情がどこかツンとした程度になっていた。



「…心配には及びません、橘社長。こう見えても俺は冷静ですよ?」

「本当かコラ」

「ええ、本当です。俺がここで嘘をつくメリットありますか?」

「………」

あるわ!と言いたいところだが、弁の立つヤツの相手は面倒くさい。

ここは何も言い返さないでおこうと、口をつぐんだ。



(やれやれ…)