「そうか。…拓狼さん、風祭さんもありがとうございます」

「いえー。それにしても君は勘が鋭い。伏線の作戦はビンゴでしたよ?…あ、真凛ちゃんは23時頃、透子さんが迎えに来ました。お見送りもしました」

「それはそれは、何から何まで」



二人とも席について落ち着き、飲み物が出てきたところで静かに乾杯をする。

そして駆け付け早々、早速話を持ち掛ける。



「…そういや、さっき拓狼さんがくれた報告のメールに気になることがあったんだけど」



名指しされた本人は、「おっ」と顔を上げた。



「そうですそうです。とっても不可解な現象です」



今回の件の経過を整理するため、病院に行ってしまった剣軌らに代わって、哲太と後ほどホテルに到着した綾小路が聞き込みを行った。

哲太らが屋上に到着するまでの間、何があったのか。

なずなと伶士は病院に行ってしまったし、少し前に屋上に乗り込んだ桃李はエネルギー切れで沈没。

他にあの屋上でその経過を見守っていたのは…リグ・ヴェーダの暗示で屋上に引き寄せられた小笠原麗華と、その後を追ってやってきた橘社長の長男、頼智だった。