今日の日本はもう、軍国主義ではない。
民主主義国家となったのだ。
よって、独裁者を生み出す原因となる『夢見』はもう必要ない。
しかし、あの軍国主義をもう一度と謳う連中もいることは確かで。
『夢殿は未だ継承されている者がいる』
バイオリズムの波のように、定期的にこの噂が持ち上がる。
「…ま、度々出てくる噂だ。そのうち消えるだろ」
「………」
…それから、一時間も経たない頃に。
剣軌と玲於奈がラウンジに合流した。
「皆さん少し遅れました。スミマセン」
「みんな、今日は本当にお疲れ様でした。ありがとうございます」
二人は頭を下げながら、皆の集まるテーブル席へとやってくる。
「剣軌もお疲れ様。ボスが一番の功労者でしょ」
「そんなことないよ。俺一人じゃ無理だった。…夏輝は?姿見えないけど」
「あぁ、夏輝は部屋で寝てた桃李が起きたから、頼智くんと部屋でゆっくり飲むって。小笠原さんも一緒にいるんじゃないかな」



