総本山からの指令なんだ、これは。
もし失敗して、伶士が誰かの手に渡ったりでもしたら、私達もただじゃ済まない。
陰陽師を名乗れなくなるし、何たって…音宮の名に傷が付く。
…剣軌が危惧している一番のポイントは、そこなんだと思う。
私は、彼のボディガード。
彼をあらゆる禍から護り、身の安全を保障しなければならない。
例え、恋心を抱いていようが何しようが。
命に代えても、その身を護らなければならない。
恋をしている。
それはわかったけど…任務が最優先だ。
(でも…)
でも、考えてしまうことがある。
そう割り切ってしまったのだとしたら。
私達の関係は…。
私に護衛されている。
もし伶士がこの事を知ってしまったら、どう思うのだろうか。
私、どう思われるのか?
そんな事を考えてしまうと、一歩踏み出せない。
変に捉えられて、伶士が私に向けてくれる好意が無くなってしまったら…。
それが、怖い。
でも、そんなものを失くそうが何をしようが、私の任務が無くなることはない。



