『恋愛は自由だけどさ?その前に自分は彼を護衛しているという任務があることを忘れずに。自分の立場と任務を弁えた上での行動ならいいけど』
『…自分の立場?』
『彼は橘グループの御曹司だよ?いずれは相応の人と一緒になる。我々は橘グループの提携子会社に過ぎない』
『………』
『…ま、たかが高校生の恋愛だけどね?』
何だ?その言い方。
身分を弁えろ、と…?
グッサリと深く、釘を刺されたような気がする。
恋愛はいいけど、ちゃんと任務をこなせ。
…逆に、任務に支障が出るなら、この恋愛に深入りするな、ということだろう。
浮かれてんじゃねえぞ?って。
後半のセリフも、深入りすると別の意味で痛い目に合うかもしれないという警告だ。
橘社長だって、お見合い結婚。そんなのわかってるよ。
しかし、酷い言い回しだな。
剣軌の性格の悪さが、まさに表現された言い方だ。
…そう、だよな。
さっきのフワついたモジモジもどこへやら。
現実に引き戻されてしまった。



