…何やってんの私!
とは、思いながらも。
心の奥底では、ちょっと喜んでドキドキしてる自分がいる。
デート…。
先程まで意中の相手と話していたスマホを両手で抱え、またモジモジする。
『…誰と電話してたの』
反射的に体がビクッと震える。
そ、そうだ。
今、剣軌の車の中だった。
依頼先へと向かうため、私は剣軌の運転する車の助手席に座っている。
『あ、あの…とも』
『ひょっとして、伶士くんでしょ』
『友達』と言いかけたのに、サラッとすっぱ抜かれて絶句する。
何っ!会話の内容、聞いていたな…!
『最近、伶士くんと仲が良いみたいだね?…この間のハルニレビルの件でも、北桜学園の件でも一緒にいたみたいだけど?』
『………』
ついに、その件について触れられてしまった。
一般人を依頼に同伴させるなど、ましてや伶士は護衛対象なのに、その危険な場に敢えて連れて行くなど。
怒られること間違いなし。



