…やばい。
事実を知ると、美化フィルターがかかってしまう。
木嶋の手下相手に乱闘を繰り広げた、あの逞しい姿や。
抱き締められた腕の、じんわりとくる温もりとか。
強引に迫られたのに、優しかった…キスの感触とか。
(ああぁぁ…)
照れ臭くなって、乙女のようにモジモジしてしまう。
普段、儚い王子様のすぐ泣いちゃうぴえんヤローが。
私の中では、男らしいカッコいいヤツになっている。
落ち着いて考えると、一緒にいて楽しくないわけじゃない。
好き…なのかな。
またモジモジしながら、彼の事を思う。
…しかし、翌日から。
ヤツのうるっさい襲撃が始まった。
《じゃあ、告白の返事は?》
《無視すんな》
《早く返事》
《返事よこせ》
《逃げられないぞ》
《返事》
《返事》
ズラリと並ぶ、返事を急かすLINE。
え…あいつ、こんなにせっかちでグイグイ来る男だったの?
まるで反社会的勢力の末端のチンピラのように…!
しまいには、私にとって不都合な写真を送信してきた。
はっ?…何故!



