俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~



ふん。自分が蒔いた種だろが。ろくてない。



…でも、その光景を目にすると、言葉では表現しづらい寂しさを感じたのは、言うまでもなかった。



『なずちゃん、やっちゃったね…お客さん帰っちゃったよ?』



今のやり取りをカウンターから眺めてたのか、アルバイト店員の咲哉くんが目を丸くしたままでいる。



『…いいんだ、それで』

『え?何で?』

『若い二人のゴタゴタだ。勝手にやらせとけ』

『…随分達観してるね。おじさんみたい』

『………』



こんな若い娘におじさん…。



…けど、言葉の通りだろ。

あの二人の込み入ったことは、私には関係ない。



でも、こんな胸くそ悪いのは、何でだろう。



(………)



『…ま、いいや。咲哉くん、お腹減った。今日のランチ何?』

『あ、いいの?今日は粗挽き肉のハンバーグ。食べる?』

『おおぉぉ!食べる食べるハンバーグ!』



…もう、気にするのはやめよう。

ハンバーグ食べてアゲていこう。

私の心を癒すもアゲるも、ただ肉。それだけ。



意味のわからない寂しさとか、胸くそ悪さとか。

もう、やめだ。