いや、警護は順調だよ。
特に何も問題は起こってない。
問題は…私自身だった。
きっかけは、年明け。
伶士自身からの依頼で、友達が霊的現象に困っているから見てやってくれとのことだった。
だけど…友達?
ペンタグラムに伶士が友達とやってきたその姿を見て、すぐにピンときた。
連れてきたのは、いかにも清楚なお嬢様の女子。胸がデカい。
二人の距離、やり取り、伶士のエスコートぶりを見ていると、ただの友達の距離感ではないことを感じる。
ひょっとして、この女。
伶士がこっぴどくフラれた相手?あのバカ兄貴にぶん盗られた彼女じゃね?
まさか、失意になるほど苦しめられた相手を、何も無かったかのようにここに連れて来る?まさか。
もしそうなら、どういう神経してんだ。
それとも、新しい女?
(………)
なんだか、胸くそ悪い。
伶士の要請通り、一応霊視をしてみるが。
…いや、霊視も何もあったもんじゃない。一目でわかる。
こいつ、何も無い。
あるのは、伶士への熱い自然と。



