俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~


《なずな、また明日》



私は、ただ。

伶士には、笑っていて欲しいだけなのに…!



『幸い、橘殿本人は『夢殿』のことを全く存じ上げておりませんし、その力を継承しているのみで力の覚醒には至っておりません。…万が一覚醒となると、この国は混沌とするでしょう。その力を覚醒させないよう、監視し待衛するのがなずな、貴女の役目です』

『………』

『…いいですね?なずな』




御意、だ。御意。

でも、声が出ない。

畳の床につけた両掌が、ぷるぷると震えているのがわかる。

『…なずな』

次のマニュアル通りの反応に移らないためか、横から剣軌の低く冷たい声がした。



ショックを隠せない。

こんなの、嫌だ…!



しかし、御館様の命令は陰陽師にとっては絶対。

拒否しようものなら、不敬罪、反逆罪…。



(………)



…いや、誰が拒否しようものか。

落ち着いて考えろ。前向きに。

他のそこらのワケわからないヤツが、伶士の傍にいるよか全然良いはずだ。