俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~


しかし、ここで『夢殿』が出現したとなれば。

その力を掌握し、我が物にしようとする輩が現れるかもしれない。

欲に惑わされた者同士の争いだって起こる可能性がある。



伶士に、危険が及ぶ…。



《幸せに、なれ》



何で、伶士が…!



茫然としつつある中でも、御館様の話は続く。



『…そして、早速、リグ・ヴェーダがその力を狙っているようですよ?何を企んでいるのかは知りませんが』



…えっ!リグ・ヴェーダが?!

まさか、ヤツの夢渡りの力で、夢見の予知夢を見ようと…?



『…そこで、なずな。貴女に命を授けます』

『へっ?!…は、は、はい』



我に返って、慌ててマニュアル通りに頭を下げる。

動揺がおもいっきり滲み出たところを見られて、おもいっきり剣軌に睨まれた。

あぁ、後で怒られる…。



そして、御館様は私に命を与える。

道程が険しく、残酷な命令を。



『音宮なずな。次期音宮家当主として、夢見の最高峰、『夢殿』橘伶士殿の侍衛を命じます』



この世は、とてつもなく残酷だ。