やはり、お坊っちゃまで甘ったれてんのか。

それとも…こっちがギャルだから、ナメてんのか。

ニュートラルに上から目線だし。

人のすっぴん、物珍しそうに見るし!見せもんじゃねえぞ?バカにしやがって。



どっちにしろ、許されないね。

器が小っさい。

とんだ王子様だ。お坊っちゃまだ。

…まあ?イケメンのお坊っちゃまなんて、こんなもんだ。



でも、私はプロ。

クライアントが多少傲慢だろうが小っさかろうが、甘ったれてようが、お坊っちゃまだろうが。

やる事をやるだけ。任務を全うするだけだ。

お坊っちゃまの戯言も聞き流してやる。多少イジりながら。ぷぷっ。



…だけど。

どうやら、そんな性格の理由は。

彼が置かれている環境にあるらしい。



生まれながらのセレブは、決して良いことばかりではない。



『…でも、兄貴や親父には敵わないんだっ…』



家柄、父さん兄さん優秀ゆえの劣等感を、ズッシリと抱えていた。

しまいにゃ兄貴に女盗られて。

精神世界を刺激されたとはいえ、私の胸にしがみついて、わんわん泣いてそのまま寝落ちする始末。

…おい。こっちは嫁入り前だぞ!全く!