容姿のレベルとは真逆に、控え目に佇んでいる彼が印象的だった。
…いやいや、好みじゃないよ?あんな儚くて弱そうな王子様。
どちらかと言えば、マッケンユーも横濱流星も好みじゃない。
私はもっと悪くてイカちそうなのが…そう、この高校のミスターである野球部の蓑島さんみたいなのが…好みかな。
だなんて、お隣の野球部のグラウンドに目が行ってしまう。
…おおぉぉ!蓑島さんいた!
野球部の練習着姿、まさにリアルルーキーズ!かっけぇぇ…。
…そんな感じで、王子様にはまるで興味なし。
毎日みっちょの話しを聞いて苦笑いする態度だった。
まさか、その王子様が、橘社長のかわゆいかわゆい息子で。
まさか…その王子様の警護を依頼されることになるとは。
まさか!橘社長の家に同居することなろうとは!
この時は、思ってもみなかった。
…儚くて弱そう?
嘘だったよ、そんなもん。あほか。
私の警護対象となった彼、橘伶士お坊っちゃまは、その儚そうな空気とは裏腹に。
少々傲慢。
お坊っちゃまと呼ぶと、神経質に反応する。



