橘社長の息子の自慢話を聞きながら、美味しいお肉を食べさせて貰う。



上の息子は、見た目は社長そっくりなんだけど、どこか掴み所のない奇才で、歳の割には要領も良く、社長はどうやら手を焼いているらしい。

一方、下の息子は不器用で内気だけど、空手とサッカーをやっていて、一つのことを黙々とやる堅実さがある。

可愛くて可愛くて仕方ないんだけど、思春期のせいで最近口も聞いて貰えないと、社長は嘆いていた。

上の息子には橘グループ本社を継がせて、下の息子には橘建設を継がせたいな…なんて、将来のプランも呟いてたりもして。

どさくさ紛れに『おまえ、どっちかと婚約しねえ?うちに嫁に来い』とか言ってくる。

陰陽師が社長夫人?んなバカな。



そんな楽しいディナーも終えて、ホテルを出る。

そろそろ親父たちが、ここに来る頃と見計らって。



…しかし、ホテルを出たところに待ち受けていたのは、親父たちではなかった。




『…これはこれは、音宮のお嬢さんに、橘社長?』