争奪、護衛…。
…そうだよな。
未来を予知し、それを選択出来る能力とくれば。
世の中は、掌握した者の思い通りとなる。
大戦争で、勝利を収め続けてきた能力だぞ?
用途はどうであれ、ちょっとした欲望を抱えている者なら、その力を得たいと思うこともあるんじゃ。
そういった経緯で、陰陽師総本山は、『夢殿』の新しい継承者を陰ながら護衛することとなる。
継承して早々とその力を覚醒させてしまった新しい『夢殿』だったが。
表立った争いや騒動もなく、護衛は順調。
…かのように、思われた。
悲劇は、何の前触れもなく起こる。
当時高校生だった、『夢殿』橘頼愛が、突然亡くなった。
自宅の部屋の床の中で、眠るように息絶えていたのである。
死因究明の結果、心臓麻痺だった。
「…どこからの勢力から狙われて攻撃を受けたのか、どうなのか。どれだけ調査しても分からず、迷宮入りとなってしまった。…分かったのは、『夢殿』橘頼愛さんの護衛に着いたことのある陰陽師一名が亡くなっていた、ただそれだけ」
「護衛に着いていた陰陽師が…?」



