…それは、三年前の冬。
音宮陰陽事務所には、とある件の依頼が増えていた。
郊外の空き家や、ビルの空きテナントや使用していない廃工場に。
大きな気味の悪い魔法陣と、散らばった血痕が残されているという案件。
発見した家主、持ち主が不気味がって、「取り敢えずお祓いしてくれないか!」と、音宮陰陽事務所に次々と依頼してきたのだ。
…いやいや。血痕がある時点で、もう警察通報でしょ。
警察に通報した上で、もちろん依頼も受けますが。
しかし、そんな依頼を受け続けていくと。
その魔法陣と血痕プラス、人間のバラバラ死体を目にするようになる。
無惨にも、千切られた手足が放り投げられ、顔や胴体は形になっていない。
そして、そんな依頼を辿れば辿るほど、現場の障気、魔力がどんどん濃くなっていくのもわかる。
これは、ただ事ではない。
音宮陰陽事務所とは並行して、警察の綾小路室長や風祭さんもこの事件を辿っている事を知り、お互い情報を交換し合って、おじさんと菩提さんは、この事件を追っていた。



