「何で…こんなことになったんですか?」
尋ねる声が、震える。
たぶん、怒りが込み上げてくるのだと思う。
「…何で、おじさんをこんな目に合わせたんですか?あの人は!」
おじさんをこんな目に合わせて、なずなや菩提さん、周りの人を悲しませた上に。
まだ、理不尽に誰かを傷つけようとするのか。
何で…!
「…脅威を感じたんだと思う」
「脅威…?」
「せっかく得た魔族の力を取り上げる事が出来るという、神童の『相殺』に」
《『神童』の皆さんは、ガーディアンの必須オプションである、『相殺』という術を使うことが出来る》
《この術は、融合された半人半魔を分解することが出来るんだ。ようするに、半人半魔から魔力を取り上げて、ただの人間に戻すことが出来る》
って、先程、屋上でも。
《摩睺羅伽『相殺』…【蛇卍】》
『神童』である川越さんや残念女が使っていた、あの技。
魔族の鬼らの姿を一瞬で消した、あの技…?
「ヤツらは、半人半魔の仲間が魔力を消されて人間に戻る瞬間を目の当たりにしたんだ。…優さんの手によって」



