俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~


「そんな…!」

「…術を掛けられてから間もない時期だったら良かったかもしれない。でも、三年という月日は長過ぎた。ヤツに魔界に逃げられてしまったばかりに…」




おじさんのこの眠りの呪詛を解くには、黒い翼の彼から魔力を取り上げるか、存在そのものを抹消するしかなくて。

しかも、もしそれを成したとしても。

この、眠りの術が解けたとしても。

おじさんが目を醒まして、元通りになるのではなく。

目を醒ますことなく、死ぬ…。



こんな…。

こんな、残酷な現実が待ってるなんて…。




「優さん…不甲斐ない弟子で、すみません…」



悔しさを浮かべる表情そのまま、菩提さんは寝たままのおじさんに囁いて、手をかけていたサイドレールをグッと握る。

その手はカタカタ震え、菩提さんの今の心情が滲み出ているようで。

それが伝わってくるように、胸が痛む。




それに、これは菩提さんの不甲斐なさのせいじゃない。

誰がどう見ても、これはやることやって逃げたという、当て逃げのような彼に非があるのは明確で。