俺の傍に来て、ベッドのサイドレールに手を付きながら、おじさんの眠る顔を見つめる菩提さん。
「結果、この術を解くには、術をかけた張本人、リグ・ヴェーダの魔力を取り上げる…もしくは、命そのものを消すしかないという結論に至った」
だから、なのか。
なずなや菩提さんが、彼を追い続ける理由。
仇というだけでなく、命を持っておじさんを呪いから解放することが出来る。
「命を…消す」
「物騒な事を言ってごめんね?」
「いえ…そうすれば、おじさんの目が醒めるんですか?」
だが、菩提さんは首を横に振る。
「恐らく、それは無理だ」
「え…!」
「…この術は、眠り続ける以外の機能は逆に蝕まれるらしい。術で無理矢理心臓や呼吸機能を動かされているようなもので、実はもう体力そのものすら残されてないはずなんだ。逆に、術が解かれたその瞬間、もう体が生命機能を維持出来ずに…死を迎える」
おじさんを見つめているその表情は、無念そうに悔しさを堪えている。



