堪えていたのに、堪え切れなくて、感情を吐き出してしまう。

思わず、前にいる菩提さんを押し退けて、ベッドサイドに駆け込んでしまった。



「おじさん…おじさんっ!」



ベッドに静かに横たわり、体には布団をかけられている男性。

背が高くて、顔色が浅黒くて。



随分痩せてしまったけど…それは、紛れもなく、俺の知ってる音宮のおじさんだった。



その痩せこけた顔には、緑の酸素マスクが着けられている。

それだけではなく、ベッド周りにあるモニターや、点滴など…周辺機器からあちこち多数の管に繋がれていて。

しかし、そんな落ち着かない機械に囲まれているにも関わらず。

俺が叫び掛けてしまったにも関わらず。

もちろん、返事も無く。



おじさんは…眠っている。



すやすやと、安らかに。

むしろ少し笑顔で、気持ち良さそうに。



ただ、眠っているのだ。



「…ずっと、眠り続けているんだ。三年間も」

「…三年?」

菩提さんは頷く。

「…ホント。幸せそうに寝てんのが腹立つけどね?…実際、全然幸せじゃないけど」