…それが、最後におじさんに会った日だったかもしれない。



今、ふと何故か、思い出してしまった。

何かの折に無意識に念じるように、思っていたこのセリフ。

実は、おじさんが言っていたことだった…。







「…失礼します、優さん」



病室のドアをそっと開ける。

一歩中に身を進めたところで、菩提さんは俺の方をチラッと見て、「どうぞ」と中に誘われた。

緊張のあまり、唾を飲み込んでから頷いてしまう。

心臓の鼓動が、更にうるさく騒ぎ出していた。



中に入ると、すぐ目の前はカーテンが引かれていた。

その向こうには、ダウンライトが一つ点いていて…恐らく、ベッドとその周辺を照らしているのだ。

電子音がピッピッと鳴り響き、シューシューと空気の抜けるような音、機械のモーター音も聞こえる。

今、病院にいるんだと、認識させられる音。



「…優さん、今日はお客さんを連れてきました」



菩提さんは、小声でカーテンの向こうへと話し掛けている。

しかし、返事はない。

だが、それでも菩提さんは話を続けている。