そして、例のごとく、忠晴に見守られながらだいぶ遅くなった夕食を食べる。

少し離れた向こうでは、親父たちがしっぽりと飲み会を続けていた。



『おいおい優、もう酔っ払ってるとか早くないか?』

『そう?まだまだイケるよー。一晩中飲み明かそう!ってねー』

『おまえなぁ…。最近いろいろ取り込んで忙しくしてるんだろ?おまえの弟子が今日会社に来た時に話してたぞ?疲れてるんじゃないのか?』

『うーん…全然っ』



…と、言いながらも。

おじさんは、天を仰いでいた。

無言で、黙って。

ただ、天井を見上げている。



その横顔は、どこか淋しそうにも見えた。



『…ねぇ、士朗?』

『ん?何だ?』

『…やっぱり、世の中平穏が一番。平凡も一番…だよね。』

『…ああ』

『毎日同じ事の繰り返し上等。それが一番の平和。…なのにさ。何でこの尊さをわかってくれない人もいるんだろうか』

『優…』

『世界は、こんなに綺麗なのに』



…そのセリフが、頭に焼き付いて妙に離れなくなってしまった。

しかし、複雑なお年頃を迎えている俺自身が、それを実感するのは、すぐの話。