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『おーっ。伶士、おかえりー』




あれは、中学一年の冬の頃。

チームの室内練習を終えて、忠晴のお迎えで夜九時頃に帰宅すると。

我が家のリビングには来客がいた。



ソファーに深く座り込んで、姿を現した俺にニコニコと笑顔で陽気に手を振ってくる。

40代という年齢の割には、見た目は若くて小洒落た雰囲気がある。



親父の学生時代の親友である、音宮のおじさんだ。



おじさんの手元には、ロック氷の入ったグラス。

向かいのソファーには親父が座っていて。

飲み会の最中だったか。

普段も陽気ではある人だが、顔を赤らめて、お酒の力で一段と陽気になっているようだ。



『こんばんは』

その場から軽く頭を下げる。

すると、おじさんは笑顔を向けたまま、続けて話し掛けてきた。

『えーと、伶士はサッカーの練習?おつかれさまー』

『は、はい』

『頑張ってんね。楽しそうだね』

『は、はい…』



本当に久しぶりすぎて、何を話したらいいかわからず、ただ『はい』と相槌を打つのみで済んでしまった。

俺、コミュ力無さすぎでしょ…。