「伶士くん」
「…あ、あのっ。俺達は行かないんですか?なずなのとこ…」
「その前に、ちょっと話しておかなくちゃならないことがある。君に」
「は…」
話…?
「…今回の件を終えて。君にとっては何が何だかわからないことだらけだと思う」
「………」
…確かに。
本当、いろいろわからない事だらけなのは、間違ってないけど。
しかし、わからない事が何かわからない…というか、何を誰に聞いたらいいのか、わからないし。
どの疑問が聞いていいのか、ダメなのか。
判断に困っていると言ったら、そうだ。
まさか。
「…すべての疑問にお答え出来れば、と思う。…まずは、ちょっと一緒に来てくれるかな」
まさか、菩提さんが答えてくれるっていうのか?
「ど、どこに行くんですか」
「うん。ちょっとこっち」
菩提さんが処置室とは反対の方向を指差して、歩き出す。
取り敢えず、着いて行くしかない。
そう思って、離れた距離を詰めるように少し駆けて後ろに着いて歩く。



