すると、奥の処置室から看護師さんが顔を出す。
菩提さんを見つけると、「ちょっと!」と手招きしていた。
菩提さんは一人、処置室へと向かい、中に入っていく。
「処置終わったようですネ」と、玲於奈が呟いていた。
終わった?そこから出てくるのか?
と、食い入るようにそこを見ていると、早々と菩提さんだけが出て来た。
「今から病室に移るって。2階」
「そうデスか」
そうか…これで、ようやく顔が見れる。
と、思ったら。
なずなとの対面の前に。
まさか、大イベントが起ころうとは。
思わない。
「玲於奈。病室まで付き添って」
「はい。了解デス」
「…じゃ、伶士くん、ちょっとこっち」
「…え?」
そう言って、菩提さんは玲於奈に「じゃ」と手を上げている。
玲於奈は頷いて、奥の処置室へと行ってしまった。
…え?え?
あいつ一人で?
俺は?…行っちゃダメなの?
どうしていいかわからず、その場から奥を覗き込んでしまう。
意味も無く背伸びなんかしたぐらいにしといて。



