「さあ、俺達も中に入ろう」
看護師さんたちがなずなを奥に連れていく様子を見守っていると、菩提さんにそう声を掛けられ、後に着いていく。
人ひとりいない、薄暗い中待合室に身を置き、ただひたすら静かに待つカタチとなった。
しばらくすると、車を駐車場に置いてきたもさ男が遅れて戻ってくる。
菩提さんともさ男の会話を耳にしながらも、黙って座って待っていた。
「…あの鴆毒は合成モノでした。魔力によるモノと、この世でポピュラーに使ってる毒デス。何が『魔毒』デスか。カッコつけちゃって」
「ほぼ魔力だろ。結界壊せるんだから」
「陰陽師の耐毒があったから、なずなサンは被毒後も動けたんだと思います。小笠原サンに当たってたら一発アウトでしたネ」
「そうか…」
「それはそうと、ボスは大丈夫デスか」
「…何が?」
「あの魔族一匹やっつけたってことは、陰陽術で風神召喚したんデショ」
「ああ、鎌鼬で『核』をスパーンと。出来るもんだね」
「相当な消耗じゃないデスか」
「…俺のことはいいよ」



