「あ、すぐそこ。もう着くよ?」
「え?すぐって…」
「薄野西病院。…あ、ほらもう着いた」
車はウインカーをあげて、左折する。
…え?こんなところに病院?
だって今、すすきのの外れを通過中じゃ。
こんな繁華街の果ての寂れた場所に病院?
左折して、大きい通りから小さな通りに入る。
古い雑居ビルやアパートが立ち並ぶ路地に入ったと思ったらすぐに、少し大きな建物が目に入った。
え…ひょっとして、これ?
「…ここですか?」
三階建てで、外壁が白いモルタルの古ぼけた感じ。
ザ・昔の病院。
この現代に、かえってレアなんじゃないかと思える見てくれだ。
「そう。ここだよ?」
ハンドルをゆっくり切って、車を正面に横付けする。
そんな菩提さんの顔は、意味ありげにニッとしていた。
俺のこのリアクションは予想通りでしたか…。
だってまさか、こんなところにこんなレトロな病院があるとは思わないでしょ。
「ここ、曰く付きの病院だからね?」
「えっ!」



