俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~


兄貴にイジられてムキになり、肘で小突いている親父を苦笑いしながら見ていて、ふと思う。



《『護られる』のも楽じゃないんだよ》



親父が俺に忠告したことを、こんなにも早く痛感させられることになるなんて。

思いもしなかった。



そんなことを考えながらも、助手席に乗りこむ。

親父と兄貴に見送られ、車は発進し。

戦場となったホテルを後にした。



…しかし、何故。

俺も同伴させてくれる事になったんだろう。




車が走り出して早々、チラッと振り返って後部座席の様子を伺う。

座席の背もたれが倒されてフラットになったところに、なずなは寝かされていて、毛布が掛けられていた。

傍には玲於奈が付き添って座っている。

本当に大丈夫なんだろうか…と、不安が募る。



「大丈夫だよ。意識戻ってないけど、寝てるようなもんだから」



菩提さんは、運転中で前を向いたままそう話す。



「あの…」

「ん?」

聞きたい事があって口を開くと、菩提さんは前を向いたまま返事をする。

彼の横顔を見ながら話を続けた。



「…どこの病院に行くんですか」