「あ、あれは…でも、そっちだって邪魔するなって…」
「菩提が良いと言ったんだ」
「え…」
そのまま横にいた菩提さんの顔を見る。
彼は穏やかに頷いていた。
「伶士くん、一緒に行こう」
…何故、こんな展開になってしまっているのか。
わからない。
俺があれだけ『殺すぞ』言って駄々をこねたからか?
それ、ワガママ坊やみたいで、超絶に恥ずかしいんですけど…。
でも…もちろん、行きたいさそりゃ。
俺の責任ってのもあるし、なんせなずなが心配だからな。
目が醒めるまで、心配でならないと思う。
そういうわけで。
なずなの病院搬送に菩提さんと同伴することなる。
下に車を用意していて、すでになずなも車に乗り込んでいるということだった。
菩提さんに連れられて、兄貴、親父と共に一緒に下へ降りる。
案内されたのは裏口で、ハイエースが横付けされていた。
後部座席には、背の高い男の影がある。
…もさ男、玲於奈だ。
あいつも一緒か。
もさ男の傍の座席が倒されているのを見ると、なずなはそこに寝かされているのか。



