俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~


なずなを俺から取り上げたもさ男は、既にこっちに背を向けて屋上を出ようとしていた。

しかし、俺が怒号をあげようがいい度胸で完全無視して足を進めている。



こんなに、苦しいのに…。



「…そいつは、俺のせいでそんなんなっちまったんだ!」



痛い。痛いんだ。



「だから…だから、俺の責任で…くだらない意地なんかじゃないぃぃっ!」



…『護られる』と、いうことは。



思いの他、苦しくて痛くて。

何を、どうしたらそこから逃れられるのか、わからない。



だから…!



(だから、俺が…!)



だがもさ男は、そんな俺のことなんか、一向に完全無視してなずなを連れて行く。

その態度にイラッときた。



おまえに…この痛みの何がわかる!



「…このっ!」



考え無しに怒りそのまま、もさ男の背中に手を伸ばす。

しかし、届く寸前で「…やめんか!」と割り込まれて邪魔が入った。

横から割り込んできて、真っ正面から両肩掴まれて体を張られて行く手を阻まれる。

一番身近なおっさんのツラを前に。