俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~


俺のこの焦燥なんて知る由もないような空気感で登場され、カチンとくる。

相手が相手だけに、ますますイラッときた。



「ボス、ただいま到着致しまシタ。自分のミッション、無事完了デス」

「玲於奈、早速だけど」

「聞いてますよ。ヤツの鴆毒三本分。了解デス」



そう言って、玲於奈…もさ男はこっちにやってくる。

なずなを抱えたままの俺の方へと。

思わず一歩後退してしまう。



「すみません。なずなサンをこっちに寄越して下サイ」

「………」



素直に言うことを聞けばよいもの。

俺は何故か、黙って応じることが出来なかった。

なずなを渡すどころか、むしろその手に力が入る。

その状況に、玲於奈は首を傾げている。もさっと。



「時は一刻を争う状況ですヨ。くだらない意地を張ってる場合じゃありません」

「…あっ!」



しかし、俺が抵抗する間もなく。

もさ男は、俺の腕からなずなをひょいと軽々取り上げる。



くだらない意地…?



「…くだらない意地って、何だコラァァッ!」

「伶士くん!」