俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~



「…けど、また迎えに来るよ?『夢殿』」



巻き起こる風は、やがて激しく渦を巻いていき、彼の身体を丸ごと包み始める。

いつの間にかその周辺、離れた俺達の場所の方へも風が吹き荒れ始めた。

逃げる…?!



やはり、それは想像通りで。

風が止んで静寂が訪れた頃には、彼の姿はもうなかった。



本当に、撤退したのか…?



(………)



だが、目の前の光景や、辺りの空気が落ち着いていると思うと、悶着は終わったのだと悟る。

すると、体の力がフッと抜けて、ズシッと重くなった。

どっと疲れたような…。



…だが、ここでの悶着は終わったかもしれないが。

俺にはまだ、やるべき事がある。



(なずなを…)



なずなを、病院に連れて行かなくちゃならない。

腕の中のなずなは、冷たくなっていて、顔色も悪くて。

でも、まだ息がある。

すぐに、病院に連れていけば…必ず助かる。



必ず…。



なずなを抱き上げたまま、立ち上がる。

立ち上がると頭がクラッとしてよろけるが、それでも堪えてゆっくりと足を進めた。



病院、救急車を呼ばないと…。