俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~


だが、彼への警戒は解かない。

来るな、と必死に目で訴えながら。

なずなの身体を自分の胸元に引き寄せて、強く抱き締める。

その身を、護るように。



「…こっちに来るな」

「………」

「…来たら、殺すぞ」



その瞬間。

彼の目が見開いた。

そして「なるほど…」と、呟く。



明らかに動揺を見せている彼は、ゆっくりと更に数歩退がる。

俺から目を離さずに。



そして、ゆっくりと足を止めて。

動揺たっぷりの顔で、またフフッと笑う。



「…あははっ。そんなに怒らないでよ?そっちへは行かないから」

「………」

気を許さず、睨み続けていたが。



「君の力が覚醒しちゃうと都合が悪いし?…それに、『来たら』本当に『殺される』からね?」



そして、一人で「あははっ」と笑っている。

すると、閉じていた背中の黒い翼が、バサッと大きく開いた。



「…今日のところは、君に免じて帰る。だけど…」



その翼は上下にバサバサと音を立てて、激しく動き出し。

次第に、彼の周りには風が巻き起こっていた。