その一瞬で、あらゆる感情を処理してしまった。
この男は、まだなずなに手を掛けようとするのか?
そんなことは…絶対にさせない!
もう、なずなを傷付けさせない。
(俺が…)
なずなは、俺が護るんだ。
《…僕だって、護りたかった…》
頭の奥底で、男性の声が聞こえる。
考え過ぎて、頭だけじゃなく体が熱い。
焼けるように、全部が。
何かが、内に溜まって…。
すると、目の前の彼の体が、前に動き出そうとする。
こっちに来る、と察して警戒を持ってしまった。
「…来るな!」
咄嗟に彼に怒鳴る。
その瞬間、内に溜まっていた熱いモノが、外に放たれた感覚を覚えた。
「…何っ?!」
バシィッ!と、衝突音が響く。
同時に、何故か。
彼は慌てた表情を見せて、後退する。
「…結界?!」
慌てた表情?珍しいな。
いつも薄ら笑い浮かべてるくせに。



