なのに、ふざけるな。
《不運だったよね?お亡くなりになった従業員の方は?》
…人が死んだことを、『不運』と言うな。
《陰陽師総本山の次期総帥を葬れたのは、多大なる利益だったよ?僕たちにとっては?》
…人を殺したことを、『利益』と言うな。
「そんなに…そんなに人間が嫌なら、この世界を見るな…この世界に来るな!人間のいないところへ行けよ!…来るなあぁぁっ!」
簡単に、命に手を出そうと…するな。
人の大切にしているものを、奪うな。
抗うことの、邪魔をするな!
ダムの放流のように次々と溢れ出る感情を堰き止められず。
ただ、胸に抱えていた怒りを吐露するが。
彼が何故か黙り込んでしまったため、俺が一方的にギャーギャー喚くカタチとなってしまった。
随分長いこと怒鳴り続けたため、酸素不足なのか少々頭がくらっとした。
彼に対する怒りの吐露だったが。
実は、胸中にはそれだけではない怒りも渦巻いていて。
もう動いていないなずなの重みを、腕に直と感じる。
なぜ、なずなが俺の盾となってしまったのか。
どうして、こんな事になったのか。
何故、『護られる』のだろうか。



