俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~


なのに、ふざけるな。



《不運だったよね?お亡くなりになった従業員の方は?》



…人が死んだことを、『不運』と言うな。



《陰陽師総本山の次期総帥を葬れたのは、多大なる利益だったよ?僕たちにとっては?》



…人を殺したことを、『利益』と言うな。




「そんなに…そんなに人間が嫌なら、この世界を見るな…この世界に来るな!人間のいないところへ行けよ!…来るなあぁぁっ!」




簡単に、命に手を出そうと…するな。

人の大切にしているものを、奪うな。

抗うことの、邪魔をするな!




ダムの放流のように次々と溢れ出る感情を堰き止められず。

ただ、胸に抱えていた怒りを吐露するが。

彼が何故か黙り込んでしまったため、俺が一方的にギャーギャー喚くカタチとなってしまった。

随分長いこと怒鳴り続けたため、酸素不足なのか少々頭がくらっとした。



彼に対する怒りの吐露だったが。

実は、胸中にはそれだけではない怒りも渦巻いていて。



もう動いていないなずなの重みを、腕に直と感じる。



なぜ、なずなが俺の盾となってしまったのか。

どうして、こんな事になったのか。

何故、『護られる』のだろうか。