毒…?
…そうだ。なずなはあのカラスの羽根に刺されて、毒に…。
しかし、普通に動いて戦っていたから、大丈夫だったのかと…。
でも、それは違ったのか…?
まさか、なずなは。
毒に侵されているにも関わらず、それを堪えて…?
そして、俺の盾になって…。
「だって、最初の二本で軽く致死量超えてるはずなんだけど?なのに動けるとか、何て強靭な女だ。…けど、三本目だと流石に死んじゃうか」
「………」
「…この、怪物が」
俺の腕に抱かれているなずなを、上から見下ろしながら、そう言い捨てる。
怪物…?
(………)
「…おまえ」
「ん?」
腕に抱いたなずなの身体を、グッと引き寄せる。
力が入った腕は、プルプルと震えていた。
そして突然、出た。
「…おまえぇぇっ!いったい、何してくれてんだああぁぁっ!…あああぁぁぁっ!」
腹の底から出したことない声が出たような気がする。
突然の爆ギレ、物凄い剣幕だったからか、目の前にいる黒い翼の彼は、きょとんとしていた。



