俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~


(…ダメだ…ダメだっ!)



まさかの、もしもの未来が頭に過ってしまう。

払拭したくて、頭をぶんぶんと振った。



もし、ここでなずな、おまえがいなくなったら、どうするんだ?

だって、俺達まだ、何も…ああぁぁっ!ダメだ!こんなところで、いなくなるのは!



混乱しかける頭だが、腕の中の異変にはハッと気付く。



「…れ…いし……」



ほぼ消えかけた、か細い声がした。

色を失いかけた唇が、僅かに動いている。



「なずなっ…!」



意識がある…!

ホッとして肩の力が抜けた。



…しかし、それも束の間。



(…え?)



なずなと…目が合わない?

こっちはしっかりと上から覗き込むように、なずなを見つめているのに。

なずなの目は俺の向こうを見ているようで、目の焦点が合っていない。

…まさか、相当ダメージが深いとか?



不安が過ぎるが、そんな中でもなずなは…。



「…れい……伶士…」



うわ言のように、俺の名前を呼んでいる。

よろよろと手を伸ばして…。