俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~


焦燥なのか、怒りなのか後悔なのか。

様々入り混じった感情が、腹の奥から怒涛に流れて声と共に吐き出たような気がする。



「…なずなっ!…なずなぁっ!」



倒れたまま動かないなずなの元へ、咄嗟に駆け出す。

足がもつれ、滑ってよろけそうになりながらも、必死にその場へと飛び込んだ。



「…なずな!」



辿り着くと、膝を着いて地に倒れたその身体を抱いて起こす。

だが、腕の中で身体がグラッと揺れていて、もう体が脱力していることを察すると、焦燥が更に込み上げてくる。

胸にはまだ、あのカラスの羽根が刺さったままだった。



「…なずな!なずな!…なずなっ!」



何度も呼びかけて揺すっても、反応はなくて。

なずなが俺を庇って攻撃を受けたとか、信じられなくて、信じたくなくて。

もう、言葉が出て来なくて、名前を呼ぶしか出来ない。



「なずな!…おい、なずなぁっ!」



抱き上げた身体は、汗をいっぱいかいていて、冷たくて。

目を閉じたままの顔色も、青白くて。

そんなことに気付いて動揺しては、必死に名前を呼び続けていた。



まさか、このまま死…。