俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~


菩提さんが気付いて、声を出した時にはすでに遅く。

黒い翼の彼は、ずっと手にしていたものを、俺の方を見たまま。

俺に向けて大きく振りかぶり、ヒュンと音を立てて…投げ放った。

先程突きつけられた…あのカラスの羽根を。



何で、俺に?!

…と、思う間も、彼の攻撃に反応する間もなく。



(え…)



目の前に突然、人影が走って、飛び込んで来て。

黒い翼の彼の姿が見えなくなる。



巻いた髪を靡かせて、俺に向けているその背中は。

紛れもなく、なずなの姿だった。



だけど…。



(あ…)



その後ろ姿は、足元から崩れ落ちていく。



(あぁっ…!)



ぐらぐらと崩れた体は、膝を付き。

また、グラッと大きく横に倒れ込んだ。



(ああぁぁっ…!)



倒れてゴロンと仰向けになったその胸の真ん中には、あのカラスの羽根が突き刺さっていたのだった。



胸が…刺された?

俺に向けられた羽根を、俺から庇って受けたのか?



その光景から事態を悟った時。



「…ああぁぁっ!な、なずなぁっ!」