でも…魔力という、自分には抗えない脅威を持っている彼に対しても臆することなく。
堂々とそこに立っている麗華さんを見ていると、思いの強さみたいなものを感じてしまって。
「…抗えないのなら、黙って泣き寝入りでもしろと?…いいえ、そうではありませんわ?」
俺は…黙ってそこで見ているしかなかった。
「黙って泣き寝入りしてそこに留まっていても、時の流れは待ってはくれません…残酷なほどに」
「………」
壊れた笑いと共に、彼の視線も強くなってくる。
再び、憎しみ…だ。
「それに…私は、故人の無念を晴らそうとしたわけではありませんよ?」
「へぇ?…じゃあ何なんだ!」
「…白戸さんの無念は、私の無念。…我が社の無念です。だから、自分自身の無念を晴らすべく、私は時の流れに足掻き抗う。その為なら、どんな力でも借ります。…自分のために」
大切な人を失って、どんなに悲しかろうが。
悲しみのあまり、前を向けずにそこに留まっていようが。
時は残酷にも一秒、また一秒と進んでいく。



